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  • 2016.07.28 Thursday
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「ハイビスカスの様な画商」

  

 帰米(アメリカ帰国)早々、山口光子さんの死を知らされて仰天した。
2日前日本にいて画廊を訪問したばかりだった。
会うのを楽しみにしていたのにその時は、彼女過労静養中とのことで不在。
信じられない!
あの山口さんが突然この世から消えてしまうなんて。彼女のニコニコした顔がぼくの目の前に、貼り付いてしまってどうしても引っ剥がせない。


   右から康芳夫、山口光子、篠原乃り子

 思えば30年ぐらい前(1980年頃か)駆出しの画廊だが、と山口さんを紹介され、会って見ると下町育ちで意気が合う。
少年時代の芋ヨーカンの話になると、すぐさま松屋の地下から上等の「船和」の芋ヨーカンを買ってきた。

”こんなんじゃあなくて、もつと汚ねえやつなんだけど”

と文句を言うと、
今はこれしかありません!

と決め付けられた。

 山口さんは八丁堀生れ、チャキチャキの江戸っ子。子供の頃は、猫をオンブして遊びに加わり、寄席に通い落語の大ファン、テンポの早い会話。
その上、いける口なので画廊の奥は自然飲兵衛の溜り場、飲み屋に変身。
そこへベテランアーティスト、美術館関係者が気安く立寄るから、ちょっとした文化サロン風にも見える。

 ”いかがですか”
の誘いに
”それじゃあちょっとだけ”
と飲み出してみると、話し上手聞き上手、アッケラカンの性格の上、会話の端々にオチが付き面白い。
こんな雰囲気はぼくには天国だ。

 ニューヨークは人種のモザイクかもしれないが、デタラメな日本語ばかりに馴らされているから、粋な会話に飢えているのだ。
ここはオアシス、ぼくにとってはバミューダ島の椰子に囲まれたハイビスカスの風の様にリラックスしてしまう。

 日本で美術館建設ブームが始まると、それ〜!と美容院でピカピカした髪にハイヒールをカタカタさせながら山口さんは、作家の売り込みに新幹線に飛び乗り東奔西走、ぼくの美術館個展、ボクシングペインティングになると、画廊事務所挙げて応援。
飛行機、ホテルの手配からボクシング用パネルの制作指導など。
有難いことにぼくはただグローブをぶら下げて成田に至着すれば良いと全く頭の下りっぱなし。
これ程細かく気の付く面倒見のいい人だった。

 日本で個展が出来る!
これは地元アメリカ人アーティスト仲間では垂涎の的だ。
美しく、清潔な国、黒澤、宮崎映像の国、忍者の国、そこで何度も個展が出来るぼくは、彼らにとってヒーローだ。

山口画廊の存在は、僕のニューヨークでのアート活動をどんなに勇気付け、エネルギーが沸騰して止まなかったことか!
"前衛は売れない、だが前進しなければならない!"

個展の度にニューヨークから送られて来る絵画オートバイ彫刻が倉庫に溢れる。

”そのうち片っ端から売れるようになりますよ!”
皆が夢を見ている、宵越の銭は残さない江戸っ子でも、この夢は宵越しどころか永遠に見続けなくては。

 画廊が消えても山口光子さんの残した強烈なハイビスカスの匂いは、京橋三丁目あたりから簡単に消えそうもない。

 


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